最近目にしたニュース記事に、団塊ジュニア世代(就職氷河期世代)の現在の年収データを取り上げたものがありました。
その中で使われていたグラフには明らかな誤りもあり、さらに「実は就職氷河期世代も意外と大丈夫だったのでは?」といった印象を与える内容になっていたことに、強い違和感を覚えました。
グラフにおける“2001年”の誤表記疑惑
まず指摘したいのは、グラフの「2001年」のデータ表記。非正規雇用の割合が正規を上回っているように見えるのですが、厚生労働省などの公的な統計と照らしても、これは事実と異なります。 明らかに表示ミス(2021年では⁈)もしくは不正確なデータの見せ方です。このようなグラフは誤解を招きやすく、冷静な分析を損なうものだと思います。
非正規から正規になる道もある現実
記事では、非正規雇用の拡大ばかりが強調されていましたが、実際には「非正規で長く働いた末に、正社員になる」ケースも存在します。実際10年以上地道に働き、ようやく正規登用される自分がいます。 キャリアは一律ではなく、それぞれに背景やタイミングがあるはず。
就職氷河期世代が描けなかった未来
私自身2000年代初頭、手取りが15〜20万円に届かない雇用されるの立場にいました。 モータースポーツに情熱を注いでいましたが、その金額で次の人生など,想像もできません。 そんな状況で「結婚して子どもを持ち、マイホームを…」なんて将来像はとても描けませんでした。
同じ世代の仲間たちも、多かれ少なかれ似たような境遇にありました。結果として、結婚率・出生率の低下という形で、社会全体に影響が表れているのだと思います。
数字だけでは語れません。 「空気」や「失われたもの」
現在の年収データだけを取り上げて、「実はそんなに悲惨じゃなかった」と結論づける論調には、非常に違和感を覚えます。その数字の裏には、あの時代に感じた社会の空気、将来への諦め、自己肯定感の低下など、数値化できないものがたくさんあります。
おわりに
氷河期世代を語るには、もっと丁寧な視点が必要です。数字を読む前に、その数字に至るまでの「道のり」にも目を向けてほしい。
ちなみに、これを書いた方は84歳の教授です。
記事を書かれた方が84歳であることは注目すべき点。 その世代の方にとっては、「働けば報われる」「終身雇用が当たり前」という価値観が染みついている。
しかし、私たち団塊ジュニア世代が社会に出たときは、そうした土台がすでに崩れていた時代。その現場を経験していない世代が、現在の数字だけを見て「意外と悪くなかったのでは」と結論づけるのは、少し乱暴ではないでしょうか。