昔からある祝日のせいで、「これが普通」「みんな一緒に休むもの」という感覚がずっと染みついてきました。でも実際はどうでしょうか。
サービスを受けるために失われる人生の時間
業種によっては祝日こそが一番きつい日。観光地や飲食店は人であふれ、物流や配達は荷物が集中して、医療や介護だって休めない。働く人たちは休むどころか、むしろ疲れを増やしているのが現実です。
利用する側に回っても、混雑や渋滞に巻き込まれて、ちょっとしたサービスを受けるだけで「人生の大切な時間」をどんどん吸い取られていく。休みのはずが、逆に時間と体力を削られる日になってしまう。
本来なら「ほっと一息つける日」であるはずの祝日が、働く人にとっても休む人にとっても重荷になっている。そんな矛盾を抱えたまま、「昔からあるから」という理由で続けているのが今の日本なのだと思います。
配達の仕事をしていると、祝日は街の雰囲気が少し変わるのを肌で感じます。車の流れが増えて、観光地や飲食店に人が集まり、いつもよりざわついている。休みのはずが、働く人にとってはむしろ慌ただしい一日になることもあります。
調べてみると、日本の祝日は年間16〜17日ほど。フランスは11日くらい、ドイツは州によって9〜13日、イギリスは8日しかありません。ヨーロッパと比べると、日本は「祝日大国」と言えるでしょう。
ただしヨーロッパは祝日が少ない代わりに、有給休暇が年間25〜30日あり、しかもきちんと消化するのが当たり前。つまり「みんな一緒に休む」のではなく「自分で休む日を選ぶ」文化なんですよね。
「みんな一緒に休む」昭和の発想
日本の祝日は、高度経済成長の時代に「国民全体で一斉に休み、余暇を消費につなげる」仕組みとして役立ちました。工場や学校、会社が同じリズムで動いていたからこそ、一斉休暇が効率的で意味があった。運動会や地域の行事を祝日に合わせて開催し、「同じ日を共有する」ことにも価値があったと思います。
それってやっぱり昭和の感覚ですよね。
今の現実
少子高齢化が進み、サービス業や物流、医療は「祝日こそ忙しい」。観光地に行けば渋滞と混雑、料金高騰。せっかくの休みが「リフレッシュ」ではなく「疲労」に変わってしまう。
配達の現場でも、祝日はむしろ負担が増えることがあります。全員が一斉に動く仕組みは、今の社会に合わなくなっていると感じます。
これからの休み方
祝日をなくせばいいわけではなく、祝日の役割を変えていくことが大事だと思います。ヨーロッパのように、個人が自分のペースで休みを取れる仕組みを整える。
「みんな一緒」から「それぞれ自由」に。
祝日はもう、昭和の遺産として見直す時期に来ているのではないでしょうか。