『万引き犯罪』令和の社会でも増加傾向にあります。警察庁の報告では、2024年の万引き認知件数は98,292件、検挙人員に占める65歳以上の高齢者の割合は39.5%にのぼるとされています(警察庁「令和6年の犯罪情勢」)
また民間の集計でも近年、万引き検挙者数は再び増加していることが示されています。こうした数値は、万引きが「子どもだけの問題」ではないことをはっきり示しています。
民間団体JEASがまとめた統計(2025年4月7日公表)では、平成29年から令和6年までの検挙者数の推移が示されています。全検挙者数は2017年の215,003人から2023年に169,409人まで減少した後、2024年は191,826人に増加。その中で万引き検挙者数は、2017年の66,154人から2022年には45,826人まで減ったものの、2023年に49,399人、2024年は51,588人へ再び増加しています 。全検挙者に占める万引き検挙者の割合も30.8%(2017年)から27.1%(2022年)へ低下した後、2024年には26.9%とわずかに反転しています

https://www.jeas.gr.jp/pdf/20250407.pdf
「見つかれば人生が変わる」とわかっている大人が犯す万引き
“もし見つかり犯罪となれば、先の人生に影響があるとわかる成熟した人間が犯す万引き”
この一文は単なる批判ではなく、社会の分断と個人の心の亀裂を直視する指摘です。財布を出すかのように商品を持ち去る行為に躊躇がない。その“普通さ”は、若気の至りでは済まされません。家庭や職を失うリスク、前科による将来的な信用失墜、精神的な追い詰めを理解しながらなお行う行動の背景には、経済的不安、孤立感、衝動制御の問題。日常化した自己正当化が横たわっています。
なぜ成熟した大人が「やってしまう」のか
自己正当化(中和理論)人は自分の行為を「言い訳」で中和してしまう。たとえば「大手だから損しても問題ない」「自分に必要だった」などの理屈で心のブレーキを外す。
生活の困窮とストレス:物価上昇や非正規雇用、家庭内の問題などが「踏みとどまれない状況」を作る。
孤立と承認欲求の歪み:人とのつながりが希薄になると、社会的規範が自分には届かなくなる。
環境の“盗みやすさ”:セルフレジの普及や人手不足により、万引きの機会が増えている面もある。
これらが重なったとき、成熟した大人でも「やってしまう」状況が生まれる。
発覚したときの代償は大きい … 先の人生を奪う可能性
犯罪として処罰されれば、職を失う、就職・転職で不利になる、家族関係が壊れる、社会的信用が失われるなど、影響は長期に及びます。「一瞬の行為」が人生設計を根底から揺るがすことを、誰もが理解しています。それでも犯行に及ぶ。この事実をどう受け止め、どう対応するかが社会の課題です。
防止には「罰」だけでなく、社会の再構築が必要
罰則や監視の強化は一定の抑止力を持ちますが、根本解決にはなりません。必要なのは多面的な取り組みです。生活支援の充実:経済的に困っている人への支援、買い物サポート、相談窓口の拡充。
孤立を防ぐコミュニティづくり。地域の見守り、居場所づくり、交流の場。
心理的ケアの提供:衝動性やストレスを抱える人へのカウンセリングや医療連携。
店舗側の環境改善:商品配置、レジ導線、セルフレジ監視の工夫、防犯指導。
再犯防止の仕組み:処分後の社会復帰支援や就労支援プログラムの強化など。
私個人の意見としては“1回捕まること”重罪を犯したわけじゃない…ある意味リッセトボタンを押し、新たにスタートするべきです。
最後に
万引きが「なくならない」のは事実だろう。イタチごっこは続くだろう。その事実に諦めるのではなく、被害を減らし、再犯を防ぎ、何より「盗まないことが当たり前だ」という普通を取り戻す努力を諦めてはいけない。
悪党の正義が正義であるはずがないように、私たちの側にも「守るべき倫理」と「支える手」が必要です。この問題に向き合う最低限の誠実さだと思う。
とは言え、大手企業は万引きでの損失を想定していると思います。なぜなら警備員を配置しない時点で、かかる経費より盗まれた方が損失が少ないのでは?そんな素人目線から感じるところ…今後は人手不足で新たに警備員をたてることすら難しい状況になるはずです。
関係者の怒りだけでは解決しません。ですが無関心も許されない。万引きを減らし、誰もが先の人生を奪われずに済む社会に向かう社会はあるのでしょか。
いつの時代にも発生する万引き、社会情勢や収入格差以上に人間の心理的要素が大きと感じました。