インフレ社会を整理してみた
最近よく聞く言葉があります。「賃上げは進んでいる」「実質賃金は改善傾向にある」と。ですが、生活が楽になった実感は、ほとんどありません。生活はできていますし、破綻しているわけでもありません。しかし、ギリギリのラインに立っている感覚が続いています。この違和感って気のせいなのか??
✅給料は増えている。でも、実感がない
あの頃より、給料は確かに増えています。手取り額も、数字だけを見れば上がっている。給与明細を見ると、名目賃金はきちんと上がっています。一方で、社会保険料や厚生年金といった控除も、年々重くなっている。
結果として、実際に使えるお金→いわゆる実質賃金は、20年前と比べて(上がってはいるものの)体感としては、さほど変わっていない。給料は増えた…でも、引かれるものも増えている。
そして、残ったお金で買うモノの値段は、当時より確実に高くなっている。だからこそ、「賃上げは進んでいる」という言葉が、自分の生活実感とどうしても噛み合わないのです。
数字では前に進んでいるはずなのに、感覚としては、ずーと同じ場所に立っている。
✅実際、どれくらいインフレに負けているのか
数字を見ると、その理由ははっきりします。ここ数年、日本の物価は年2〜3%台で上がり続けています。一方で、名目賃金の伸びはそれよりやや低い水準にとどまることが多い。差し引きすると、実質賃金はマイナスか、ほぼ横ばいです。
✅給料は上がっているが生活の重さは軽くならない。
この感覚は、肌感覚以上に数字で説明がつく現象でした。郵便業は「賃上げしている側」だが強くはない。
・人手不足・公共インフラとしての責任・賃下げが難しい立場。上げなければ回らない。だから、上げている。ただそれは、インフレに勝つための賃上げではありません。
・料金は簡単に上げられない・コスト増を価格に出しづらい・人件費比率が高い。
郵便業は構造的に、インフレ耐性が弱い仕事です。結果として上げてはいる、でも追いついてはいない。この状態が続いていると感じます。
✅インフレに勝っている仕事の共通点
一つはっきりしたことがあります。インフレに勝っている仕事は、努力が多い仕事ではありません。
共通しているのは、価格を自分で決められるかどうか。IT、コンサル、士業、医療、裁量の大きい営業や自営業。物価が上がれば、単価も上げられる仕事。公共性が強く、価格決定権を持たない仕事は、どうしてもインフレに弱い。郵便局の現場職は、その位置にあります。
もちろん、・条件の差はある年齢の差・待遇の差・スタート時期の差。これは、すべての人が同じ条件にいるわけではありません。
賃上げの恩恵を強く受けている人がいることも、事実です。20代の若手の賃金ベースは上がっています。これは、「みんな苦しい」という話ではありません。インフレ指数に勝っている役職ポジション、職種も確かにある。それが今のインフレ社会の特徴があると感じています。
✅50代、一本で勝つのは正直厳しい
ぶっちゃけて言えば、50代の今から、一本の収入だけでインフレ率に勝ち続けるのはかなり厳しい。これは悲観でも、諦めでもありません。現実として理解していると言うことです。
若い頃のように、一気に伸ばすフェーズではない。戦い方を変える、何もしないわけではありません。一本足打法が無理ゲーなら、二本・三本足打法。しかし労働時間をぶっ込まない、残業で帳尻を合わせない、ダメなら“はい!次!”そんな気持ちで進めるインフレ対策。
インフレに完全勝利はできなくても、削られないようにする。それが今の自分にできる、現実的な戦い方だと思っています。
✅デフレ社会だったから、バイクレースが続けられた
20年ほど前、私はオートバイレース活動をしていました。決してお金に余裕があったわけではありません。給料も安かったし、本職と別にアルバイトの掛け持ちありき(アスリートととしてはどうかと思うところ)。収入も今の基準で見れば、かなり低かったと思います。それでも、個人の収入ベースで、レース活動を続けることができた。(物理的なサポートや協力者があっての活動でした)
なんとか走れた理由はシンプル、あの頃はデフレ社会だったから。タイヤ代、エンジンオイル、ガソリン、部品代、移動費。当時も「高い」と感じながらも、今の物価と比べると、びっくりするくらい安い。少し我慢すれば、工夫すれば、削れるところを削れば何とか回りました。だから続けられた。
もし今、あの頃と同じ条件で、同じレース活動を始められるかと聞かれたら…かなり厳しいと思います。
給料は当時より上がっています。手取りも増えています。でも、物価はそれ以上に上がり固定費が重い。個人での活動は、細く短いものになると感じます。サポート・応援がないと挑戦が難しい。
✅「挑戦に回せるお金」…確実に減った。
自分が年を取ったからだけではなく、社会の空気が、 「挑戦よりも、まず生活」に静かに切り替わっている感覚があるのです。インフレ社会では、挑戦のハードルが上がります。
私で言えば、学び直しと旅行に影響があります。
デフレ社会では給料が低くても、工夫と情熱で何とかなる余地がありました。インフレ社会では、給料が上がっても何もしないと削られます。挑戦するには以前よりも、「覚悟」と「計算」が必要になります。
✅インフレに勝つよりも、削られないこと
私は大きな船に乗っています。インフレ物価高の高波がきても沈む可能性は低い。所得ゼロにはしばらくならない予定w。
インフレ社会で50代を生きるというのは、夢を捨てることではなく、その社会情勢や背景を知った上で行動をしていきたい。
今から転職?役職者目指す?インフラ指数に勝つ端的な行動かもしれませんが、それがワクワクした生き方かと言えば…。私は違ったアプローチをしていきます。

✳️20年前(2005年頃)と今(2025年)の物価比較
出典:総務省 統計局「消費者物価指数(CPI)」厚生労働省「毎月勤労統計調査」
総務省の消費者物価指数(CPI)で比較すると、2005年頃の物価指数は 約95 だったのに対し、2025年11月には 約113.2 まで上昇しています。つまりこの 20年で、物価水準は約18%上がったということです。
また、インフレ率(前年比)を見ると、2005年はほぼ ±0%前後 だったのに対し、2025年は おおむね +2.8〜3.5% の上昇が続いています。これは、物価が「毎年 2〜3%ペースで上がる社会」に変わったことを示しています。
現在の日本では、物価上昇率が年2〜3%台で推移している。単純に考えれば、賃金が年3%以上上がらなければ、生活水準は維持できない計算になる。さらに社会保険料や税負担の増加を考えると、実感として「少し楽になった」と感じるには、年4〜5%程度の賃金上昇が必要になります。