2026年から全日本ロードレース ST1000 クラスに性能調整優遇措置が導入される、という発表がありました。

確かに。一読して「見応えあるレースをつくろう」という意図は伝わりました。車体差を埋めて接戦を生みやすくする。
このレギュレーション変更を“全日本の革新的な一手”と見るかと言えば、どうしても違う。
おそらくMFJ側もそのことは理解しているはずです。
性能調整と言われても、バイクレースをよく知らない層にとっては「なんのこっちゃ?」で終わります。
そもそも JSBとST1000が同じ排気量なのに、別クラスで存在していることすら、知らない人もいるんじゃないかな。
だから今回の変更は、あくまで“内部的な改善”に過ぎないわけです。確かにレース内容は良くなるかもしれない。でも、それだけで運営も含めた全体の価値が跳ねるわけではありません。
◇経済・人口動態を踏まえると、不安のほうが大きい
今の日本は人口減少、社会保険料の増加に地方の高齢化(レース業界も)。さらには物価高騰による家計の余力低下などー。
この現実を前にして、全日本ロードレースというコンテンツがどう生き残るか。そこが一番の焦点でないのか⁉︎
地方サーキットは若い観客が減り、スポンサー側もシビア。ジャンル問わず「確実にリターンがある投資」しか通らない時代になっている。
そんななかで、レース内容の改善だけで観客数が増えるか?スポンサーが増えるか?収益が増えるか?と言えば、私には疑問が残ります。
人口動態と日本経済を踏まえると、これが“全日本ロードレースの未来を変える施策”には見えない。
ニッチなスポーツ…それに価値を見出すなら別ですが。
決勝を増やし、会場の仕掛けも増えた。でも根本の課題は「観客を増やす仕組み」最近の全日本は決勝レース数も増やしているし、会場のブース展開や仕掛け、昔より良くなりました。やっている感は伝わるし、現場の努力も見える。
けれど、まずはどうやって観客を増やすのか?という“入口”が見えてこないんです…毎度のことながら。
ここを作らない限り、どれだけレース内容が良くなっても、「料理は美味しいのに、商圏人口が減り続けている店」と同じ構造から抜け出せないんです。
◇インバウンド、アーティストコラボ、観光パック
じゃ、どうするか。上げた3点の施策です。「浅はかだろ!」と言われるのも理解している。その浅はかさすらまだ試していないのが現状ではないでしょうか。
大切なのは、レースを観てもらう“入口の機会”を作ること。そして、外からお金が入る仕組みを設計すること。
いまの全日本(運営側)は、ライダー・チーム・メーカー側の発信に頼り切り。本体としての“稼ぐモデル”がまだ弱い…と言うか“無い”
だからこそ、レギュレーション変更を見ても、どうしても物足りなさを感じてしまう。
◇まとめ
今回のST1000性能調整は、レース内容を良くする方向の“改善”ではある。しかし、全体を変える“革新”にはなっていない。
レースを良くする努力はわかる。ただそれ以上に必要なのは、多様な層を呼び込む仕組み、観客を増やす導線やスポンサー価値を高める構造、そして日本の人口動態を見据えた“仕掛けづくり”と“稼ぐモデル”を作ることだと…私は思いました。